胃痛について
胃痛は、誰もが一度は経験する身近な症状ですが、「ただの胃痛だろう」と放置してしまうと、症状が悪化したり、見逃してはいけない病気が隠れている場合もあります。
ここでは受診するべき胃痛の見極め方や、当院での検査・治療について分かりやすくまとめています。
どんな胃痛が受診すべきなの?
症状を見極めるポイント
痛みの強さや継続時間
(キリキリ・ズキズキ・キューっと)
- キリキリした鋭い痛み
- ズキズキと波のある痛み
- キューっと締めつけられる痛み
このような痛みが数時間以上続く、繰り返す、睡眠を妨げるほど強い場合は受診をおすすめします。
体温や体重の変化
- 原因不明の発熱を伴う
- 2 ~3か月で体重が急激に減る(5~10Kg)
- 貧血
こうした症状は潰瘍、腫瘍性病変の可能性があり、精密検査が必要です。
合併症や他の症状の有無
- 吐き気、嘔吐
- 黒い便(消化管出血の可能性)
- 食欲低下
- 胸やけ、げっぷ
日常生活における胃痛の原因
食生活の乱れ(刺激物・飲みすぎ・食べすぎ)
辛いもの、脂っこいもの、アルコールの過剰摂取などは胃酸の分泌を促進し、胃の粘膜を刺激します。
早食い、よく噛まないで飲み込む癖、消化の悪い食べ物なども胃酸の過剰分泌を引き起こし、胃痛を悪化させる原因になります。
食生活指導や歯科治療を優先させることで症状を改善することができます。
ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスや不規則な生活によって自律神経の調整が乱れると、胃酸の分泌や胃の運動が不安定になり、けいれん(スパズム)や痛みが生じることがあります。
この場合、対症療法としてアセチルコリンレセプター阻害薬(ブスコパン)が有効です。
ピロリ菌感染
長年の感染が胃炎・胃潰瘍・胃がんのリスクを高めます。
感染経路としては、幼少期の口移しなど家庭内で感染するケースがもっとも多いとされています。
かつては井戸水の飲用による感染もみられましたが、現在の日本では新規感染はほとんどありません。
当院ではピロリ菌の検査として迅速ウレアーゼ試験や血液抗体価、尿素呼気試験といった検査を行っています。陽性と判断されれば、2次除菌治療までを行います。
胃痛を引き起こす病気
急性胃炎
食べ過ぎ・飲み過ぎ、ストレス、薬剤などが原因となり、急激な胃の炎症が起こります。
慢性胃炎
ピロリ菌感染が代表的原因。長く続く胃の不調や食後の重さが特徴です。ピロリ菌を除菌しない限り、症状はよくなりません。
アニサキス症
生魚を食べた後に数時間以内に強烈な胃痛が起きるのが典型的です。
特に、サバ、サンマ、サケ、イカなどはアニサキスが寄生しやすい魚介類として知られています。
内視鏡検査を行い、虫体を鉗子で直接つかんで除去しなければ、痛みは治まりません。
胃けいれん
胃の筋肉が急激に収縮して起こる強い痛み。ストレスや食生活の乱れが関係します。
逆流性食道炎(GERD)
胃酸や胆汁酸が胃噴門部を超えて、下部食道に逆流し、胸やけ・みぞおちの痛みを伴います。
ご飯を食べてすぐに横に寝たりすると、胸やけなどの症状が出やすくなりますので就寝前の食事はお控えください。
すくなくとも2時間以上空けてから、就寝してください。
胃・十二指腸潰瘍
胃酸の過剰分泌や粘膜保護因子の脆弱化によって、胃や十二指腸の粘膜が消化されてしまい、ひどいと壁に穴が開き、消化管の内容物が腹腔内に漏れ出してしまい、腹膜炎を引き起こして緊急手術が必要になるケースもあります。
夜間や空腹時にみぞおちの痛みが強く出るのが特徴です。
機能性ディスペプシア(FD)
胃に明らかな異常がないにもかかわらず、胃の不快感や痛み、早期満腹感が続く状態です。
胃がん
胃がんは早期の段階では症状が非常に乏しく、胃痛がないことも多い病気です。
原因不明の貧血や急激な体重減少をきっかけに発見されることもあります。
胃の不快感が長く続く方は、一度胃カメラ検査をおすすめします。
当院で行う胃痛の検査方法
胃カメラ検査
(上部消化管内視鏡)
胃の粘膜を直接観察し、炎症や潰瘍、腫瘍の有無を正確に評価できます。
経鼻・経口を選択でき、鎮静(眠って行う検査)するか否かは選択できます。
当院では鎮静後に内視鏡検査を行ったのち、ベッド移動無でそのままリカバリールームで麻酔が解けるまで、ゆっくりお休みいただくため、安心安全に検査を受けていただくことができます。
腹部エコー検査
胃周囲の臓器(肝臓・胆のう・膵臓)の状態を確認し、胃痛の原因を総合的に評価します。
食後の胃痛の場合、急性胃炎ではなく、胆石症や胆のう炎が隠れていることもあります。
血液検査
炎症反応、貧血、ピロリ菌抗体、肝機能などを調べ、胃痛の背景にある病気を絞り込みます。
胃痛の内視鏡検査の役割
炎症・潰瘍の正確な診断
症状だけでは区別が難しい病気を、視覚的に明確に判断できます。
ピロリ菌関連病変の評価
胃炎の進行度、萎縮性変化の有無を確認することで、将来の胃癌の発生リスクも把握できます。
がんの早期発見
胃がんは早期であればほとんどが内視鏡のみで治療可能です。
特に萎縮性胃炎をお持ちの方は、年一回の内視鏡検査をお勧めしています。
治療方法
生活習慣の改善・見直し
食べすぎ・飲みすぎのコントロール、ストレスマネジメント、規則正しい生活が基本です。
薬物療法
- 胃酸を抑える薬
- 胃粘膜を守る薬
- 胃の動きを整える薬
- 痛みを直接抑える局所麻酔薬
- 漢方など
症状に合わせた最適な治療プランをご提案します。
よくある質問(FAQ)
胃痛と下痢が同時に起こっても、すぐに内視鏡検査を受けるべきですか?
ウイルス性腸炎など一時的な原因のことが多いですが、痛みや出血、発熱が続く場合は検査をおすすめします。
ストレスによる症状と診断された場合、薬だけで治せますか?
薬で軽快することもありますが、生活習慣・ストレス環境の見直しと組み合わせることで、より確実に改善します。
胃が痛くて背中まで痛い場合は何の病気が考えられますか?
胃・十二指腸潰瘍、膵炎、胆のう炎などが疑われます。早めに医療機関を受診してください。

