- 鼠径(そけい)ヘルニアとは
- 鼠径ヘルニアの症状チェック
- 鼠径ヘルニアの原因
- 鼠径ヘルニアを放置していると
- 鼠径ヘルニアの種類
- 鼠径ヘルニアになりやすい方
- 日帰り手術をおススメする方
- 日帰り手術が難しい方
- 鼠径ヘルニアの治療
- 麻酔方法
- 日帰り手術までの流れ
- アフターケア
鼠径(そけい)ヘルニアとは
腸や腸間膜などの臓器が、足の付け根の筋肉の隙間から外へ押し出され、ふくらみとして現れる状態を指します。「脱腸」とも呼ばれ、自然に元通りに治ることはありません。立った状態でふくらんだり、横になると引っ込んだりするのが特徴です。夕方に違和感として自覚される方も数多くいらっしゃいます。
ヘルニアが戻らなくなった状態を陥頓と言い、重篤で危険な状態に陥る可能性があるため、緊急で整復しなければなりません。整復できない場合は緊急手術になります。
鼠径ヘルニアの症状チェック
鼠径部の膨らみ
立位・咳・力みで膨らみが出やすいです。
痛みや不快感
長時間の歩行や仕事で夕方に足の付け根が重く感じます。
腸閉塞の症状
強い腹痛・吐き気・嘔吐が起こることがあります。
その他の症状
違和感・引っ張られる感じがします。
鼠径ヘルニアの原因
- 加齢による腹筋の萎縮
- 過剰な腹圧上昇
(例:重い物を持つ、筋トレ、アスリート、慢性的な咳や便秘、妊娠・出産など) - 小児期からあった鞘状突起(鼠径管)の再開通
鼠径ヘルニアを放置していると
嵌頓のリスク
腸が戻らなくなると激痛が生じます。
腸管壊死
血流が止まり壊死すると命に関わります。
緊急手術のリスク
予定手術よりリスクが大きいです。
長期的な健康への影響
日常生活の制限や痛みが続きます。
鼠径ヘルニアの種類
- 外鼠径ヘルニア(最も多い型)
- 内鼠径ヘルニア
- 大腿ヘルニア(女性に多く嵌頓しやすいので早急な手術が必要です。)
- 膀胱ヘルニア
鼠径ヘルニアになりやすい方
高齢男性、便秘や咳が続く方、重い物を扱う仕事、出産経験のある女性に多い傾向があります。
日帰り手術をおススメする方
- 休みを取るのが難しい方
- 早く日常へ戻りたい方
- 入院が困難な方
- 治療費総額を抑えたい方
日帰り手術が難しい方
重度の心臓・肺疾患がある場合や麻酔に不安がある場合は、入院手術を提案することがあります。
鼠径ヘルニアの治療
根本治療は手術のみであり、
自然治癒はありません。
鼠径法
当院では、現在 メッシュプラグ法 を中心に治療を行っています。ふくらみの原因となる部分を小さく切開し、ヘルニア門と呼ばれる弱い部分に、医療用メッシュ(補強材) を挿入して補強する方法です。
局所麻酔や脊椎麻酔でも施行可能なため、高齢者や基礎疾患をお持ちの方でも行いやすいメリットがあり、安価で日帰り手術に適した術式です。
腹腔鏡手術
腹腔鏡下手術は、腹腔内より直接ヘルニア門を確認して、処置を行うことができるため、ヘルニア門を確実に閉鎖することができます。器具挿入用の小孔(3~10mm)を3カ所開けて、画面を見ながら腹膜を切開してメッシュを留置します。
両側性の方と、再発の方に適した術式です。鼠径法に比べ、術後の痛みや異和感が少なく、再発率も低いとされメリットの大きい術式ですが、全身麻酔が必要なため、日帰り手術で行うには健康で合併症の無いことが条件となっています。
治療・手術費用
(3割負担)
鼠径法(メッシュプラグ法)
60,000〜90,000円程度
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TAPP 法)
120,000〜180,000円程度
※高額療養費制度が利用できます
麻酔方法
当院の特徴:痛みを抑えた鼠径ヘルニアの日帰り手術
当院では、患者さまの負担をできる限り少なくするために、鼠径ヘルニア手術において 「痛みを減らす工夫」 として神経ブロックと局所麻酔を組み合わせた独自の疼痛管理を行っています。
手術の前に、超音波ガイドを用いて鼠径部の感覚に関わる 腸骨鼠径神経・腸骨下腹神経を穏やかにブロックします。これにより、手術中の痛みの感じ方が大幅に減り、術後の痛みの立ち上がりも緩やかになります。また、切開部には局所麻酔を丁寧に浸潤させ、外腹斜腱膜の下に痛みが出やすい層があるため、そこを重点的に麻酔することで、「ズキズキする痛み」「ツッパリ感」といった不快感を最小限に抑えます。
この 「神経ブロック+局所浸潤麻酔」 の組み合わせにより、多くの方が術後すぐに歩いて帰宅でき、翌日には普段通りの生活に戻れます。また、鎮痛薬は“痛みが出たら飲む”のではなく、痛みを予防する目的で内服していただくことで、さらに痛みを少なく保つことができます。
日帰り手術までの流れ
1初診
診察・説明・手術日時の決定
2手術当日
全身または腰椎麻酔・局所麻酔で手術
3手術から1週間後
経過確認の診察
アフターケア
痛み
術後の痛みは、痛みが強くなる前に鎮痛薬を予防的に内服することで、ピークを抑えることができます。 当院では、術後数日間は定期的に痛み止めを使用いたします。
入浴
入浴については、術後3日目頃からシャワーが可能です。ただし、体を温めすぎると腫れが強くなる場合があるため、浴槽に浸かる入浴は1週間程度控えてください。 傷口はこすらず、優しく洗い流してください。
飲食
飲酒は術後1週間程度控えることをおすすめします。 アルコールは血流を促し腫れや痛みを助長させることがあるためです。
運動
運動に関しては、軽い散歩、自転車操作など日常動作は翌日から可能ですが、腹圧がかかる運動(ランニング、筋トレ、ゴルフ、テニスなど)は再発予防のため1か月を目安に控えてください。 体に負担の少ない範囲から、段階的に再開していきましょう。
トイレ
排便時の“いきみ”は鼠径部に負担となるため、穏やかに行ってください。必要に応じて下剤の調整も行いますので、お気軽にご相談ください。

