― 慢性便秘の原因と、
当院で行う専門的な治療 ―
便秘とは
便秘の定義
便秘とは、便が十分に排出されず、
- 排便回数が少ない
- 硬くて出しづらい
- 強いいきみが必要
- 排便後も残っている感じがある
といった症状が続く状態を指します。
一時的な便秘は特別な治療を必要としない場合もありますが、症状が慢性的に続く場合は「慢性便秘症」と呼ばれ、原因の精査と適切な治療が必要になります。
便秘の有病率
便秘は、日本人の約2〜5%が悩んでいるとされ、非常に身近な症状です。
若年層では女性に多い傾向がありますが、70歳以上になると男女差はほとんどなくなります。
慢性便秘の種類
機能性便秘
最も多いタイプで、腸の動きが低下することで便が進まずにたまってしまう便秘です。
主な原因
- 運動不足
- 食物繊維や水分の摂取不足
- 腸内環境(腸内細菌バランス)の乱れ
- 加齢による腸管運動の低下
- 刺激性下剤(センナ・アローゼン等)の長期使用
- 一部の内服薬の影響
器質性便秘
腸に物理的な異常があり、通過が妨げられることで起こる便秘です。
原因の例
- 大腸がん
- 腸の癒着
- 炎症や腸管の狭窄
このタイプは見逃してはいけない重要な病気を含むため、検査による除外が必須です。
心因性便秘
精神的ストレスや思い込み、排便への強い緊張が影響して起こる便秘です。
特に、
- 排便に対する過度な不安
- 過剰な食事制限
- 摂食障害・強迫症
などが関与します。
よくみられる慢性便秘の原因
刺激性下剤の長期使用
センナ系などの刺激性下剤の常用により、
- 効き目が弱くなる(耐性)
- 服用量が増える
- 腸の神経や筋肉が疲労・萎縮する
という悪循環が起こり、かえって便秘が悪化します。
食生活の偏り
食物繊維や水分摂取が不足すると、
- 腸内細菌バランスが乱れる
- ガスがたまりやすくなる
- 腸の動きが低下する
などの影響で、便秘を助長します。
反対に、野菜中心で脂質が極端に少ない食生活も、胆汁分泌の低下を招き、便秘につながることがあります。
痔核(いぼ痔)による残便感
慢性便秘の方には痔核が併存することも多く、強いいきみにより肛門の静脈がうっ血して、
- 直腸内で痔核が腫れる
- 神経が圧迫され「便が残っている感じ」を生む
- さらに強くいきむ
という悪循環を形成します。
当院で行う便秘の検査
当院で実施可能な検査は以下の2項目です。
便潜血検査
便に混じる微量の血液を検出する検査です。
- 外来で簡単に実施可能
- 痛みのない検査
- ご自宅で採取して提出
大腸がんなど出血性疾患のスクリーニングとして必須の検査です。
陽性の場合は、必ず大腸内視鏡検査を行います。
大腸内視鏡検査(院内実施)
大腸内視鏡検査は、便秘の原因を直接確認できる最も信頼性の高い検査です。
確認できる病気
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 炎症性腸疾患
- 憩室
- 下剤の長期使用に伴う粘膜変化
ポリープが見つかった場合は、その場で切除も可能です。
当院の便秘治療
基本治療
まずは腸に負担をかけない安全な治療から始めます。
- 酸化マグネシウム:便を柔らかくする
- 大建中湯:腸の動きを整える
刺激性下剤は、常用せず、どうしても出ないときのみの頓用使用を原則とします。
新しいタイプの便秘治療薬
症状に応じて以下を追加します。
- アミティーザ
- リンゼス
- モビコール
いずれも便に水分を集め、自然な排便を促します。
グーフィス(エロビキシバット)
胆汁酸の再吸収を抑制し、
- 大腸運動を活性化
- 直腸の感覚を改善(便意の回復)
する新しい薬剤です。
刺激性下剤に頼っていた便秘からの脱却に有効な治療薬です。
生活指導
運動
起床後、軽い散歩やストレッチなど身体を動かす習慣をつけます。
食習慣
- 朝食を必ず摂る
- 米飯を中心とした食事
- 十分な水分摂取
正しい排便姿勢
便座では軽く前傾姿勢(35度程度)をとり、足に体重を乗せることで直腸肛門角がまっすぐになり、排便がスムーズになります。
便秘と痔の関係
便秘が痔を作る
強いいきみで肛門静脈がうっ血し、痔核が形成されます。
痔が便秘を悪化させる
腫れた痔核が残便感を生み、過度ないきみを招き、便秘を助長します。
痔核に対するALTA療法
治療方法
硬化剤を注射し、痔核を縮小させる治療です。
- 切らずに治療可能
- 痛み・出血がほぼない
- 日帰り治療が可能
便秘改善効果
痔核が縮小することで、残便感が消失し、排便の爽快感が回復します。
当院の診療方針
最小限で最大の安心
「必要な検査は確実に、意味のない検査は行わない」
これが当院の便秘診療の方針です。
便秘でお悩みの方へ
こんなお悩みはご相談ください
- 便秘が何年も続いている
- 下剤を使わないと出ない
- 残便感が強い
- いきみがつらい
便秘は治せる病気です
便秘は体質ではありません。
適切な評価と治療で、必ず改善を目指せます。
つらさを我慢せず、お気軽にご相談ください。

